■三浦優子のIT業界通信■ Windows 7+Windows Mobile 6.5で何が変わる?

  • 2010.01.06 Wednesday
  • 09:47
 昨年、2009年のマイクロソフトは、「3スクリーン+クラウドサービス」というビジョンを打ち出した。決して新しいビジョンではないが、PC向けソフトからスタートした同社のビジネスが転換期にあることを示すという点では新しいビジョンだ。

 3スクリーンのうち1つがPC=Windows 7だとすれば、2つ目のスクリーンとなる携帯端末はWindows Mobile 6.5である。ところが、11月に開催されたWindows Mobile 6.5の発表会では、3スクリーンのうち2つが揃ったことで起こるメリットはほとんど説明されることはなかった。そこでWindows Mobile 6.5+Windows 7の両方を使うことで、どんなメリットが生まれるのか、あらためてマイクロソフトに訊いた。

●PCとケータイの壁を取り払う試みはこれから始まる
 「PCと携帯端末の連携は、マイクロソフトとしても全面に押し出していきたいメッセージです」−−マイクロソフトのモバイルコミュニケーション本部・越川慎司本部長はこう強調する。

 しかし、Windows Mobile 6.5の記者会見ではPCとの連携ではなく、搭載端末単体で実現する機能の説明に重きが置かれていた。これは何故なのか。

 「3スクリーン+クラウドというビジョンが実現すれば、例えばXboxのゲームの続きを携帯端末でプレイするといったことができるようになります。ただ、これはアプリケーションとサービスが揃った上で実現できることです。ご存じの通り、OSの発売と同時に、アプリケーションやサービスが全て揃うわけではありません。そこで会見では、あえてWindows Mobile 6.5に注力した説明を行ないました」(越川本部長)。

 コンシューマ向けWindows 7のマーケティングを担当しているコンシューマー&オンライン マーケティング統括本部コンシューマー Windows本部・藤本恭史本部長も、「アプリケーションとサービスが揃っていない現状では、PCとケータイ端末が揃ったことでこれができますよとアピールしにくい部分はあります。特にアプリケーションやサービスは、グローバルに存在するものをそのまま持ってくるのではなく、ローカルニーズに対応する必要があります。だから、日本のお客様がPCと携帯端末が揃うことによるメリットを感じていただくまで、時間がかかる部分もあると思いますが、我々が目指している方向は3スクリーン+クラウドであるということは間違いありません」と力説する。

 現段階でもWindows 7とWindows Mobile 6.5が揃ったことで実現するメリットはある。Windows 7に搭載されているデバイスセンターを利用すれば、新たにソフトをインストールすることなくUSB接続によってPCと携帯端末がつながる。

 「もっとも、つながるだけではお客様にメリットが生まれるわけではありません。そこでPCと携帯端末がつながってどんなメリットがあるべきなのか、改めて考えてみたのですが、1番多いのは連絡先データを共有したいというニーズではないでしょうか。それを示しているのが、携帯電話の連絡先データをPCで管理・保存するユーティリティソフトが多数販売され、人気を博している事実です」(越川本部長)。

 確かにソフト売り場に行くと、携帯電話の連絡先データをPCで管理・保存するソフトは多数存在する。現在はこうしたソフトを利用していない人でも、PCのメールソフトに溜まったアドレスデータと、携帯電話に溜まったデータをマージし、管理したいと考える人は多いだろう。

 「そこにクラウドが加わることで、PC、携帯、さらにSNSのデータも合わせて連携利用するといった使い方が実現します。それぞれ単体で利用することもできるし、他の端末やサービスを加えて利用することもできる。お客様にさまざまな選択肢を提供していくというのが当社のスタンスです」と越川本部長は話す。

●搭載端末増加のための努力続く
 ただし、Windows Mobileを搭載した端末は、種類、出荷数ともにまだまだ少ない。Windows 7とセットで利用したくても、なかなか難しいという側面もある。

 「この点に関しては、我々が端末の数が増えるよう努力していきますとしかいえない部分もあります。ただ、着実に搭載端末の数は増えています。2008年、1年間で9機種が発売になり、累計でWindows Mobileを搭載した携帯端末の数は30機種になりました。さらにこの冬には5機種が発売予定です」(越川本部長)。

 携帯電話市場には沈滞ムードが漂っているが、スマートフォンは唯一、成長している分野である。これまでスマートフォンを販売していなかった端末メーカーから、「ラインナップに加えたい」という声があがる。

 マイクロソフトも端末メーカーの反応が変わってきたことを実感しているのだという。

 「これはマイクロソフトが頑張ったから起こった変化ではなく、スマートフォン全体に端末メーカー、キャリア共に取り組む姿勢に力が入ってきているということだと思います。特に日本の端末メーカーの対応は大きく変わりました。日本市場だけでなく、海外市場を考える際、スマートフォンを戦略商品とすることを真剣に考えるメーカーが増えているのです」(越川本部長)。

 だがその一方で、大手量販店はともかく、小さな携帯ショップではスマートフォンが展示されていないこと場合も多い。スマートフォンこそ、自分の手で操作し、機能を確認し、販売員から説明を聞きたい商品なのに、販売現場ではその対応ができていない。

 特にWindows Mobile搭載端末は機種が少ないことに加え、法人が大量導入する機種というイメージがあるからなのか、個人が簡単に試すのが難しい印象がある。

 「確かにWindows Mobileは法人向けで、コンシューマ向けという印象が薄かったことは否めません。Windows Mobile 6.5発表会でカプコン、コナミ、集英社とエンターテイメント向けコンテンツを作成するパートナーにデモをお願いしたのも、コンシューマユーザーにも利用して欲しいというメッセージをアピールする狙いもありました。販売現場についても2009年9月、10月の2カ月間、全国のNTTドコモショップ全てでトレーニングを実施しました。どの店舗でも最低1台は電源が入っている端末を置いてもらえるベースが出来上がりました」(越川本部長)。

 さらに大手量販店ではWindows 7搭載PCと、Windows Mobile 6.5が搭載された携帯端末をセットで並べて展示する仕組みを作った。

 「首都圏の数店舗のPC売り場に、スマートフォンを置いてもらう計画です。携帯売り場とPC売り場にあった壁を取り払う必要がありますが、限られた店舗ではありますが、そういうチャレンジをする店舗が出てきました」(越川本部長)。

 売り場の壁を取り払うきっかけとなっているのがWindows 7発売以降、PCの販売が上向いているという事実である。

 「こういう売り方をすれば売れるという実感を店舗の方に持っていただくことができれば、新しいチャレンジが増えていくのではないかと思います。我々も同じWindowsのPCと携帯端末をセットで利用することで生まれるメリットをアピールする教育プログラムを作成するなどして、売り場の壁を取り払う援護射撃をしていきたい」と藤本本部長は話す。

●iPhoneとは違うアプリケーション戦略
 3スクリーン+クラウドを具現化するために不可欠なアプリケーションについては、スマートフォン分野では先行するiPhoneと大きく異なる戦略をとっている。作成したアプリケーションを「Windows Marketplace for Mobile」に登録するためには、有料で登録しなければならない。

 「iPhoneは新しくアプリケーションを追加するという発想がなかった携帯端末の世界を大きく変えたという点で、素晴らしいと思います。スマートフォンを利用する人を増やしたのも間違いなくiPhoneの功績でしょう。ただ、我々はアプリケーション戦略については異なるアプローチを考えています。iPhoneには9万を超すアプリケーションがあるそうですが、事業が黒字化しているソフトメーカーは少ないのではないでしょうか。アプリケーションの数が多いだけに、ユーザーの皆さんも商品選びが難しい。そこでマイクロソフトではセレクトショップという発想で、むやみにアプリケーションの数を増やすのではなく、適正な数のアプリケーションを提供する戦略としました」(越川本部長)。

 12月中旬には約60タイトルが揃っているというが、登録が有料であること、会見の際に紹介されたのが開発費をかけた本格的なゲームアプリケーションということもあって、資金力に余裕があるソフトメーカーでなければ、Windows Mobile対応アプリを開発できないような印象がある。

 「決してそういうわけではなく、プロだけでなく、個人でもアプリケーションを開発していただいてかまいません。我々も新しいソフトを創造するスパイラルを止めたいとは思っていません。ただ、中途半端なソフトばかりたくさん増えてしまうのはアプリケーションを作った方にとっても、ユーザーにとっても不幸なこと。そういった事態を避けるために99ドルの登録料を設けることにしたのです」(越川本部長)。

 実際にプロではない開発者からは、携帯端末でニコニコ動画を見るためのビューワーや、シングルサインオンでmixiやTwitterなど複数のSNSにログインできるソフトなど、おそらく自分で不便を感じる点をカバーするようなアプリケーションが開発されている。

 また、大手ソフト開発会社からは、日本だけでなく、全世界向けにビジネスができる可能性がある点が高く評価されているという。

 「開発効率という点では、日本の携帯端末だけでは市場が狭い。日本以外の国にも販売できる可能性を評価していただいています。特にWindowsの場合、3スクリーンですから、PC、ゲームコンソールと開発面で共通する部分が多い。大手ゲームメーカーさん、集英社さんがWindows Mobile対応を表明してくださったのは、マイクロソフトが確立したエコシステムを評価していただいたのだと思います」(越川本部長)。

 集英社のコンテンツには、海外で人気を集めているものも多く、日本以外の支社からも反響があったそうだ。

●Windows Mobileの頑張りで全携帯出荷量の10%をスマートフォンに
 あらためてPCと携帯端末の両方を利用するメリットを訊ねると越川本部長は次のように答えた。

 「ユニークな使い方をされているのが、ウィルコム製端末を持っているユーザーさんです。PCとセットで使われている方の比率が高いようで、モデム代わりに携帯端末を利用されているというお客様が結構いらっしゃると聞いています。私自身、便利に使っているのは携帯端末でのPowerPoint利用です。電車での移動中に、端末でプレゼン内容を見直し、必要があれば修正するといった使い方をしています」(越川本部長)。

 PowerPointのプレゼンテーションファイルについても、PCと携帯端末を接続しデバイスセンター経由でデータをコピーする方法もあれば、Windows Live上で提供されているデータ同期ができるサービス「My Phone」経由でデータを同期するのも1つの方法だ。

 「同期するデータは、仕事で使うものだけでなく、携帯端末で撮影した写真データを同期するというのも1つの楽しみ方です。オリジナル写真を使って、PCも、携帯端末も自分色にカスタマイズしてもらうことで、自分ならではのPC、携帯端末にしていくといった楽しみ方も可能でしょう」(越川本部長)。

 藤本本部長は、Windows 7に搭載されたセンサーAPIと、携帯端末に搭載されているGPS機能を合わせて利用することで、位置情報とセンサーを合わせた新しいサービスが開発できるのではないかと提案する。

 「現段階で実現できているPCと携帯端末の連携に加え、センサーAPIのように新しいテクノロジーによってこれまでとは異なるPCと携帯端末の連携が実現できるのがWindows 7とWindows Mobile 6.5ですね」。

 Windows Mobileに関しては日本の調布に開発体制ができた影響も大きいそうだ。

 「これまで海外製品が多かったスマートフォンには、おサイフケータイのような日本独自機能を搭載するのが難しいという側面がありました。調布に開発部隊があることで、日本ローカルのニーズに対応することができる素地が出来ました。より日本のお客様に合った製品を提供していきたい」(越川本部長)。

 こうした機能に加え、それによって実現するメリットをシナリオとして提示することで、利用者に訴えていくこともマイクロソフトにとっての課題となる。

 「その点では、さまざまなパートナーさんに加盟していただいているWindows Digital Lifeコンソーシアム(WDLC)が大きな力となると思います。ここで我々では想定できないような新しいシナリオを提案していきたい」と越川本部長は話す。

 この結果として、「スマートフォン市場を活性化し、全携帯電話出荷量の10%をスマートフォンとすることが目標です」と越川本部長は目標を掲げる。この目標が実現するのか、2010年は勝負の年となりそうだ。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/miura/20100106_340533.html
MarketPlaceの登録料99ドルは余計だった。ただでさえ、iPhoneには置いていかれている現状でAndroidにも追い抜かれて、唯一と言っていいアドバンテージであるアプリの蓄積・開発環境構築の簡便さの部分に自らブレーキを掛けている。盛り上げ役であるはずの個人開発者を遠ざけてどうする?
本当に2010年はWindowsMobileにとっては勝負の年なのだが、勝算は薄そうだ。
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