300日かけてゆっくり進むドイツ製ブラウザーゲームの魅力

  • 2009.05.30 Saturday
  • 09:14
 この1カ月半あまり、「トラビアン」というオンラインゲームを遊んでいる。グラフィックは何とも貧相で、派手な演出は一切ない。登場するキャラクターはアニメーションさえしない。サウンドもまったくなく無音だ。しかしながら、48カ国語に展開され、プレーヤーのアカウント数は430万人と膨大な数に達している。(新清士のゲームスクランブル)
 私自身、ほぼ毎日、断続的だが1日30分程度はそのゲームにアクセスしている。見事に「はまった」という状況かもしれない。ところが、面白いか、面白くないかと聞かれると、まだよくわからないのが率直な感想だ。
 このゲームは「ブラウザーゲーム」と呼ばれる日本であまり発達していないジャンルのゲームで、ゲーム機も不要なら、グラフィック処理性能の高いパソコンも必要ない。ウェブブラウザーが動くごく普通のハードであればなんでもいい。
 日本での正式な開始は昨年6月からで、プレーヤーの合計数は5万3000人に達している。
■1ゲームが300日間というゆっくりプレー
 このトラビアンは、ローマ時代に設定された仮想の世界で、自分の村を育てていくという内容だ。自分の村のまわりで、木や粘土、鉄、穀物といった資源を手に入れる。それらを使って自分の村に建物を建て、軍隊を作り上げていく。そして、まわりにある他のプレーヤーの村と戦って勝利するとポイントを稼げ、全体のランキングが上がっていく。
 特徴的なのは、まったくといっていいほどゲームに偶然の要素がない点だ。資源を蓄えていくペースは厳密に決められており、戦争の結果も一切偶然の余地がない。公開されているシミュレーターで、どの程度の戦力差ならどういう結果になるかを完全に予測することができる。最適な資源配分を模索するゲームと言ってもいいだろう。
 だから、ゲームの複雑さを生み出すのは、すべて人間の役割だ。1つのサーバーで数万人のプレーヤーが同時に村を持つ。現在、筆者のいるサーバーにも1万6000プレーヤーが存在している。
 通常の大規模オンラインゲームと決定的に違うのは、1つのサーバー内で決着がつくまでに約300日もかかる気の長い展開である点だ。筆者がプレーしているサーバーは、スタートが4月3日なので、まだまだ展開は序盤戦だ。ゲームの世界で流れる時間は、現実の世界と変わらない程度の速度で進む。
 そのため、プレーヤーは、なにもすることがなくただ眺めているだけという時間が長い。資源が溜まるペースがとにかくゆっくりで、立て続けに建物や兵士を増やすことができない。2〜3時間に1回命令を出し、またその結果がわかるのも1〜3時間後になる。
 ところが慣れてしまうと、自分の村が少しずつレベルアップしていくのが何となく楽しくなってしまうから恐ろしい。最近は、朝一番にパソコンモニターに向かい、寝ている間に溜まった資源をコストのかかる新しい鉱山の開発に使ったりする。まだ溜まってないだろうかと、昼間も何度もモニターを見てしまう。
■「村を育てる」から「外交戦」に
 しかし、ある朝起きて楽しみにしてモニターを見ると、ごっそり資源がなくなっていてショックを受けた。他のプレーヤーから攻撃を受け、資源を丸ごと略奪されたのだ。攻撃は朝4時と6時の2回。ほとんど兵士を持っていないことを見透かされて、見事に標的にされたようだ。
 このゲームはリアルな時間で動くので、手薄な深夜を狙われた。戦闘といっても実際の合戦シーンはなく、画面にあっさり結果が表示されるだけのものである。
 そのあたりから、このゲームの深みが顔を出してくる。とにかく対策を打つために、兵士をそろえる作業を行う。しかし、多くの兵士を抱えると、それだけ資源も使ってしまうため発展のペースが鈍る。資源分配のバランスがなかなか難しい。
 次のステップは「同盟」への参加である。これは他のプレーヤーと共同してチームを作る機能で、最後は巨大な同盟同士の決戦へと向かっていくらしい。現在、私の兵士は50人ぐらいだが、最終的には数万といった単位の同盟同士の対決になる。ある同盟に参加してから攻撃されることはなくなった。
 つまり、途中から外交戦になっていくのだ。同盟に加わるように他のプレーヤーをリクルートしたり、他の同盟と不可侵条約を結ぶなどの外交戦略をめぐらせたり、メンバーに指示を出したりと、ただぼんやりと眺めていただけのゲームがコミュニケーションの必要に迫られて忙しくなっていく。
 後半になるに従い、時間を決めて特定の村を一斉攻撃する作戦などが増え、生活時間がバラバラのプレーヤーをまとめる「コミュニケーションコスト」がどんどんかかるようになる。
 暇なゲームなのだが、だんだんと余計な雑事が増え、その煩雑さにどれだけ耐えられるかも勝敗にかかわるカギになるようだ。
■ドイツでブラウザーゲームが発展した理由
 このトラビアンは、ミュンヘン在住のゲルハルド・ミュラー氏が、大学在学中の2004年夏に一人で開発したゲームだ。それをネット上に公開したところ、100人以上のユーザーを得て、コミュニティーが成長した。そこでこれを仕事にしようと大学を中退し、05年に起業して正式にスタートしている。
 ゲームは基本的には無料で遊べるのだが、有料で購入する「コイン」という通貨がある。それを使うと生産能力や攻撃能力を一時的に引き上げたりできるというアイテム課金型のビジネスモデルである。売り上げは公開されていないが、現在は社員数が70人に増えている。
 トラビアンは06年にドイツ国内のゲームメディアが主催する「スーパーブラウザーゲーム賞」の部門賞を受賞した。ドイツでは様々なブラウザーゲームが今も開発されていて、サッカーや宇宙開拓のゲーム、日本語のサービスにも対応した「OGame」というゲームもある。
 こうしたゲームが成長した背景には、日本とドイツのブロードバンド回線の普及の差がある。トラビアンが本格的に人気を得るようになった06年時点で、ドイツのインターネット回線の普及率は67%だが、ブロードバンドは34%にとどまる。EU全体でも、インターネット回線の普及は49%で、ブロードバンドはうち30%にすぎない。
 一方で、同時期に日本はブロードバンドの世帯普及率が72%にまで高まっている(インプレスR&D調査)。08年段階でもドイツのブロードバンド普及率は55%で、EU圏全体では48%とやっと5割に届く水準だ。
 こうした事情から、ドイツをはじめとするEU圏ではナローバンド回線でも遊べるようなゲームへのニーズがあった。ブロードバンド回線を前提としたオンラインゲームが流行していた日本とはそこが違っている。

 07年に「World of Warcraft」など米国で人気のあるブロードバンド向けのオンラインゲームがEU圏でもブームになるのだが、トラビアンはそうしたゲームの前に登場して、多くのユーザー数を抱えることに成功した。ブラウザーゲームの場合、扱うデータ量が極めて小さいために、世界48カ国の現地語に合わせた迅速な展開も可能だったのである。
■苦痛だけどおもしろい
 このゲームの持つポテンシャルは想像しやすい。ブラウザーだけでやり取りするゲームであり、どこにでも入り込んでいく。
 もちろん、ユーザーをいくら増やしても、その大半はソーシャルメディアと同じくお金を払わない。しかし、頂点を目指そうと思うほどはまったユーザーは、つい有料のコインを買うようになるだろう。こうしたゲームで多くのユーザーが満足できてしまうならば、既存のゲームにとって脅威になってくる。
 リッチなゲームに慣れたユーザーが多い日本で、今後どこまでユーザーを伸ばすことができるかは、注目していきたい。
 私は、外出先でもついつい「iPhone」のブラウザーで見るようになってしまった。日本の携帯電話であれば大半で遊べる。まさに、隙間時間に入り込んでくるゲームの典型例であり、グラフィックスや音声がなくても十分おもしろい奥深さを感じるゲームでもある。
 ただ、これをお勧めできるかというと考えてしまう。正直、あまりの変化のゆっくりさは苦痛である。それでも、いずれ自分が万単位の兵士を操ることを夢見て遊び続けている。
・トラビアン
・OGame
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000029052009
気になりつつ、いまだに手は出していないブラウザゲームです。
説明だけ見ると概念はAgeofEmpires的な感じなのですかね。
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